植林作業

植林をするには? 《ここでは恩格貝を中心に考える》

1、どんな所でも植樹は出来ます。しかし、その樹木が育つかどうか?場所と条件によって異なります。

2、目的は何か!という事です。木を植えるということは、自分自身の満足感とも繋がります。しかし、私たちの活動は自己満足に終わらせず、継続して森を作ることを目的としています。

3、遠山正瑛先生の教えは、
「出来る所からする、やさしい所から始め、困難な場所は後回しにする!」です。
そしてまた、「いい時期に、いい場所で、良い苗樹で」ともおっしゃっていました。
いい時期とは春先(3月末~4月初)と秋(9月~10月)を指しています。

4、しかし、当協会のスタッフも失敗を重ねて実践していくうちに、真夏の暑い中でも、充分に潅水を行えば100%に近い活着を学び、現在では、3月から11月までいつでも可能になりました。
しかし、いい時期に植林した苗樹は途中で潅水の手間が要りませんが、その他の時期に植林した苗樹については、約1ヶ月に1度の潅水を、2年間ほど行わないと樹木の成長はない事も判明しました。(場所によっては1年間ですむ場所もある)
沙漠での植林にマニュアルはありません、チョッと目を離すと樹木は育ちません。

緑化と植林

1、沙漠の中で一番面積が広いのが土沙漠(土漠)です。
土壌が非常に細かい粘土から出来ている沙漠で、中国の黄土高原などはその代表です。黄砂の源でもあります。
雨のほとんど降らない黄土高原などは、草の苗を用いた緑化活動を中心に行っているのが現状で、水を必要とする樹木の植林は大変な費用と労力が負担になると考えられます。

2、当会が行っている恩格貝地域にも土漠があります。
現在は沙藁(サホ)、ニンティオといった潅木が植林されています。ポプラを植林しましたが、活着はとても悪かったです。
粘土層は硬すぎて掘るのも大変で、根の成長を妨げます。保水力の良い砂沙漠が一番仕事のしやすい場所でした。

3、モンゴルの古い教えに「草原に鍬を入れるナ!」とあります。
草の下の土壌は、アルカリ性土壌が30センチ下にあるからで、それが上に出ると沙漠化するからです。車が走ったタイヤの跡が、「草原のに鍬を入れる」と同じ状態を作り出すことがわかってきました。
従って、植林地を決める際には、現地に生えている草の種類を見極めることも仕事のひとつです。
草のない砂地が一番植林に適しています。また、草が多い場所は、苗樹に十分な水分がいきわたりません。潅水しても、草に水をやるような結果になってしまいます。

4、恩格貝では苦豆(クドゥー)や甘草など薬草や羊菜(ヤンツャイ)、沙藁(サホ)、ニンティオといった潅木が飛行機から撒種されて砂丘地に広がってます。
飛砂の防砂の為の緑化活動の一環です。
この植物の近くではポプラや松、沙刺や砂ナツメなどは育ちませんので避けるようにしています。

5、草方格:一般的には道路や線路に砂がたまらないように、砂丘の上方をワラや、沙藁の枝で土壌深く差し込み、碁盤の目のようにする防砂作業のことです。
草方格を作る際に、沙柳(サリュウ)を挿し木で植林する方法と、各種の種を撒種する方法が砂丘地で多く用いられるようになりました。これは北京への飛砂を防ぐ為、中国各地の沙漠で行われている作業です。


作業解説

緑化作業について簡単に説明します。協力隊の皆様にご参加いただくのは、おもに「ポプラの苗の植樹」、風による砂の移動を止める「草方格づくり」「剪定作業」の3つです。ここではその作業手順について簡単に説明します。

1、苗木運び
まず植える苗とスコップ、バケツなどの道具を植林地点まで運びます。苗木は根を常に覆土しておきます。太陽や風にさらさないように。

2、保水剤
植える前に、苗の根を吸水ポリマー(保水剤)をまぶした水に浸します。これによって、僅かな水でも着実に育つことが可能になります。

3、植林開始 
準備ができたら、植林作業の開始です。ロープに沿って一列に並び、穴を掘る位置を確認します。


4、穴掘り
位置確認後、穴掘りの開始です。直径30~40cm、深さ80~100cmの穴を掘ります。砂が崩れてなかなか掘れないこともあります。掘り上げる砂は掘り進むほど湿り気を帯びていますので、乾いた砂と湿った砂を分けておきます。

5、穴に苗を
全員穴が掘り終わったら、その穴に運んできた根を保水剤に浸したポプラの苗を入れます。もう一度ロープを張り、まがっていないか確認します。

6、埋め戻し
苗をまっすぐに固定し湿った砂から埋め戻していきます。穴の7割程度まで埋め戻したらしっかりと踏み固めます。

7、バケツリレー
1~5の作業を5回繰り返すと一行程の終了です。運んできた大きなバケツにポンプで水を汲み上げ、そこからバケツリレーで7割まで埋め戻した穴に水を注ぎます。バケツリレーの列に加わる人、列の移動を指示する人、空のバケツを集める人など作業を効率的に進めるにはチームワークが重要です。大雨の後や地下水の豊富な地区等では無灌水の場合もあります。

8、埋め戻し、整地
完全に水がしみ込んだ植え穴から残り3割を埋め戻します。このさいも、しっかり足で踏み固めます。踏み方があまいと風で倒されることもありますの、でこぼこのないよう丁寧に踏み固めます。

9、出来上がり