恩格貝

クブチ沙漠・恩格貝

 協会の中国における最初の植林地が、内蒙古自治区伊(イ)克昭盟(クショウメイ)(達(ダ)拉(ラ)特旗(トキ)、烏(ウー)蘭(ラン)郷(ゴウ)にある恩格貝クブチ沙漠総合開発示範区(現在は内蒙古自治区鄂爾多斯(オルドス)市恩格貝生態(せいたい)示(し)範(はん)区(く))です。
 中国では毎年、東京都の広さに匹敵する面積が沙漠化していると言われています。 当時、鳥取大学で日本の乾燥地開発研究の第一人者だった遠山正瑛日本沙漠緑化実践協会初代会長がこの地で活動を開始したのは1991年のこと。以来、日本から派遣されたボランティア「緑の協力隊」と現地スタッフらの手により植えられた苗木は400万本上に及びます。植林は活着率のよい春と秋を中心に協会で雇用して中国人の手で大量に植える集中植林の他に、日本の植林ボランティア「緑の協力隊」の力が主力となっています。
 見渡す限りの沙漠の地に突如青々と茂るポプラの林が出現する様は驚きの一言に尽きるでしょう。これらの木々は、まぎれもなく人の手により植えられ、育てられてきたものなのです。現在も「緑の協力隊」派遣活動により、年間300人以上のボランティア参加者がこの活動を受け継ぎ地球環境保護のため汗を流しています。

  • 1995年 旧賓館前
    1995年 旧賓館前
  • 2005年 旧賓館前
    2005年 旧賓館前

恩格貝の気候・風土

 恩格貝を含むクブチ沙漠は、黄土高原のほぼ中央に位置し、海抜1,100メートル、緯度は青森県とほぼ同じです。一日の寒暖の差が厳しく、涼しい夏でも夜は冷え込むこともあります。夏の気温は50℃近くに達し、冬はマイナス20℃になることもあります。年間降水量は300ミリ程度で、そのほとんどが雨季である6~8月に集中して降ります。

 

都市/気温3月4月5月6月7月8月9月10月
北京最高17.726.333.634.435.435.730.125.7
最低-4.81.54.914.017.718.610.40.9
恩格貝最高10.018.225.230.532.128.726.220.3
最低-5.52.17.710.017.316.214.50.2

恩格貝の生き物

 恩格貝にはトカゲ等、生来沙漠にすむ生き物がいます。また、遊牧民が飼っているヒツジやヤギもいます。そして、森が広がるにつれ様々な生き物を見ることができます。種を出荷するために花を栽培しているので、昆虫もたくさん見られます。池にはフナ等もいます。特に秀逸なのは、鳥の中の宝石と呼ばれるカワセミの出現です。

飼われているもの

ヤギ、ヒツジ、ラクダ、ダチョウ、ブタ、

ニワトリウマ、ロバ、ラバ、イヌ、ネコ等

自然界にいるもの

トカゲ、カエル、ヘビ、チョウ、ツバメ、

カササギ、ウサギ、カワセミ、猛禽類の仲間

その他昆虫類等

ヤギ ハリネズミ カワセミ ラクダ ダチョウ

恩格貝周辺の住民とその暮らし

 1991年当時恩格貝があるクブチ沙漠に暮らす人々の年間所得は500元(日本円で 約8,000円)程度と中国でも最も貧しい地域の一つでした。石灰の露天掘りや牧畜、 僅かな農地での農業などで生計を立てていましたが、産業と呼べるようなものはほと んどありませんでした。
 その後中国の経済発展に伴う地下資源の開発や沙漠緑化による農業を中心とした生 産の拡大によって恩格貝の人々の所得も向上し、当時と比べると生活が大きく変わり つつあるのが現状です。
恩格貝周辺に暮らす村民達が協力してくれる春期植林は、 協会が植える植林本数の 大半を占めています。沙漠緑化を進めるためには、彼等現地住民の協力が欠かせませ ん。
民族衣装 遊牧民 お宅訪問 土壁の家 小学校

恩格貝周辺の紹介

五里明沙

 

当初植林は賓館から少し離れた五里明沙というところで行っていました。ここに広がる緑は、沙漠ウォッチング等で訪れた際、高い沙丘の上から一望できます。ここは現在も植林が進められています。

第1ダム

 

 
一晩で降った豪雨が沙漠に大きな亀裂を生じさせ、巨大なダムになりました。このダムの他にも第2ダム、さらに賓館前にも池があります。沙漠にも水があることの何よりの証拠です。
成長した森  
植林した木は、平均80%程度活着(根づき)、5年ほどで立派な森になります。森の中に入ると、足下は落ち葉や微生物の働きで砂が土になり、また鳥のさえずりや葉が風にそよぐ音が耳に心地よく、そこが沙漠であったなどとはとても信じられません
友誼林(記念植樹) 協力隊は、植林地での植林の他に、賓館の近くにある友誼林で記念撮影をします。ここではそれぞれの名札を付けた木を一本だけ植えます。「あの木は無事に育っているだろうか」、そんな思いで2回、3回と協力隊に参加される方も大勢いらっしゃいます。まるで自分の子供のように思える木に再会するのも、恩格貝を訪れる楽しみの一つです。
友誼林(記念植樹) 協力隊は、植林地での植林の他に、賓館の近くにある友誼林で記念撮影をします。ここではそれぞれの名札を付けた木を一本だけ植えます。「あの木は無事に育っているだろうか」、そんな思いで2回、3回と協力隊に参加される方も大勢いらっしゃいます。まるで自分の子供のように思える木に再会するのも、恩格貝を訪れる楽しみの一つです。

徳勝城

 

2012年より「日中友好平和の森」の新しい植林地として集中植林が行われています。この事業は遠山正瑛初代会長生誕100年記念事業として計画されたものです。

草炭の地層

 

 草炭とは、数百年以上前の草木が石炭や亜炭にならず地表から比較的浅い所に地層として埋もれているものです。恩格貝では1989年の大洪水の侵食跡に見ることができます。

乾燥して燃料にしたり、畑の保水用材として利用された時代もありますが、今は使われていません。

恩格貝の植林の移り変わり

  • 植林前
    植林前
  • 植林初年
    植林初年
  • 植林1年
    植林1年
  • 植林2年
    植林2年
  • 植林3年
    植林3年
  • 植林4年
    植林4年
  • 植林5年
    植林5年
  • 植林20年
    植林20年