植林をするには?(ここでは恩格貝を中心に考えます)
- どんな所でも植樹は出来ます。しかし、その樹木が育つかどうか?
場所と条件によって異なります。 - 目的は何か!という事です。木を植えるということは、自分自身の満足感とも繋がります。しかし、私たちの活動は自己満足に終わらせず、継続して森を作ることを目的としています。
- 遠山正瑛先生の教えは、「出来る所からする、やさしい所から始め、困難な場所は後回しにする!」です。
そしてまた、「いい時期に、いい場所で、良い苗樹で」とも言っておられました。いい時期とは春先(3月末~4月初)と秋(9月~10月)を指しています。 - 当協会のスタッフも失敗を重ねて実践していくうちに、真夏の暑い中でも、充分に潅水を行えば100%に近い活着が可能であることを学び、現在では、3月から11月までいつでも可能になりました。
しかし、いい時期に植林した苗樹は途中で潅水の手間が要りませんが、その他の時期に植林した苗樹については、約1ヶ月に1度の潅水を、2年間ほど行わないと樹木の成長はない事も判明しました。
(場所によっては1年間ですむ場所もある)沙漠での植林にマニュアルはありません、チョッと目を離すと樹木は育ちません。
緑化と植林
- 沙漠の中で一番面積が広いのは土沙漠(土漠)です。
土壌が非常に細かい粘土から出来ている沙漠で、中国の黄土高原などはその代表です。黄砂の源でもあります。
雨のほとんど降らない黄土高原などは、草の苗を用いた緑化活動を中心に行っているのが現状で、水を必要とする樹木の植林は大変な費用と労力が必要になると考えられます。 - 当協会が行っている恩格貝地域にも土漠があります。
現在は沙(さ)藁(ほ)、ニンティオといった潅木が植林されています。ポプラを植林してみましたが、活着は悪く大変でした。
粘土層は硬すぎて掘るのも大変で、また根の成長を妨げます。保水力の良い砂沙漠が一番仕事のしやすい場所でした。 - モンゴルの古い教えに「草原に鍬を入れるナ!」と言う言葉があります。
草の下の土壌は、アルカリ性土壌が30センチ下にあるからで、それが上に出ると沙漠化するからです。車が走ったタイヤの跡が、「草原に鍬を入れる」と同じ状態を作り出すことがわかってきました。
植林地を決める際には、現地に生えている草の種類を見極めることも仕事のひとつです。
草のない砂地が一番植林に適しています。また、草が多い場所は、苗木に十分な水分がいきわたりません。潅水しても、地表近くに根を張る草に水をやるような結果になってしまいます。 - 恩格貝では苦(ク)豆(ドゥー)や甘草など薬草や羊(ヤン)菜(ツャイ)、沙(サ)藁(ホ)、ニンティオといった潅木が飛行機から撒種されて砂丘地に広がっています。飛砂の防砂の為の緑化活動の一環です。この植物の近くではポプラや松、沙刺や砂ナツメなどは育ちま
せんので避けるようにしています。 - 草方格:一般的には道路や線路に砂がたまらないように、砂丘の上方をワラや、沙藁の枝で土壌深く差し込み、碁盤の目のようにする防砂作業のことです。
草方格を作る際に、沙(さ)柳(りゅう)を挿し木で植林する方法と、各種の種を撒種する方法が砂丘地で多く用いられるようになりました。これは北京への飛砂を防ぐ為、中国各地の沙漠で行われている作業です。
作業解説
緑化作業について簡単に説明します。協力隊の皆様にご参加いただくのは、おもに
① ポプラの苗の植樹
② 草方格づくり・・・・・風による砂の移動を止める、
③「剪定作業」
の3つです。ここでは植樹作業手順について簡単に説明します。
1、苗木運び |
当初植林は賓館から少し離れた五里明沙というところで行っていました。ここに広がる緑は、沙漠ウォッチング等で訪れた際、高い沙丘の上から一望できます。ここは現在も植林が進められています。 |
2、植林開始 |
準備ができたら、植林作業の開始です。 事前に準備された穴を掘る位置を確認します。 |
3、穴掘り |
位置を確認したら、穴掘りの開始です。 表面の乾いた砂を深さ10㎝程取り除きます。砂崩れを防ぐためです。 直径30~40cm、深さ100~120cmの穴を掘ります。スコップの全長が約100㎝なのでスコップで穴の深さを確認します。砂が崩れてなかなか掘れないこともあります。掘り上げる砂は掘り進むほど湿り気を帯びていますので、乾いた砂と湿った砂を分けておきます。 |
4、埋め戻し |
苗をまっすぐに固定し、湿った砂から埋め戻していきます。穴の3割程度まで埋め戻したらスコップの柄を使って押し固めます。さらに残りを埋戻ししっかり足で踏み固めます。踏み方があまいと風で倒されることもありますので、凸凹のないよう丁寧に踏み固めます。 最後に水鉢を作り1本の植樹が完了です。 |
5、水やり |
1~5の作業を繰り返し一行程の植林が終了したら、タンクローリー車で運んできた水をホースを使って木々に水やりをします。この時水鉢がしっかりと水を溜め込んでくれます。大雨の後や地下水の豊富な地区等では無灌水の場合もあります。 |
6、出来上がり |